創作劇場 【究極の片想い〜落ち武者と呼ばれて〜】 全13話
最終話 『 夢 』
テレビ局での打ち合わせに来たあと この日はもう予定はなかった。
いつもは、局から送迎の車が出るのだが
「東京見物を兼ねて 電車で帰るから」と 帰りの車は断った。
テレビ局のショップでは 人気キャラクターのキーホルダーなどを買い
ソフトクリームを食べたり おでんを食べたりして
ちょっとだけ 遊ばせてもらった。
明朝一番の便でソウルに帰れば ミンチョルは仕事に忙殺される。
この数時間は ミンチョルにとっても つかの間の休暇だった。
夕食も済ませ 滞在先のホテルの最寄駅まで帰ってきた。
電車に乗るまでは天気ももったが ポツリポツリと雨が降り始めていた。
タクシーに乗る距離でもない。
二人分の傘を買うほどの降りでもない。
コンビニで 1本だけビニル傘を買って間に合わせることにした。
コンビニを出て ミンチョルが傘を広げると すずりんがいない。
ミンチョルを待たずに 歩きはじめていたのだ
追いかけて 傘を傾け 一緒に入ろうとするが
すずりんは 傘に入らない。
『濡れるよ おいで。』
そうミンチョルが言っても すずりんは入らない。
『どうしたんだい?』
「ヨンスさんに悪いから けっこうです。」
『えっ!』
一瞬立ち止まったミンチョルだったが すぐに歩き出しこう言った。
『そんなこと気にしてたの?』
「・・・・・・」
『ヨンスさんが そんなことで 怒ったり悲しんだりすると思うかい?』
「いいえ、思いません。」
『じゃあ 何故?』
「許さないのはヨンスさんじゃなくて 私の気持ちなんです。」
『どういうことかな?』
「ヨンスさんが好きだから・・・。」
ミンチョルはすずりんの腕をつかむと 近くの喫茶店に入った。
『ちょっと雨宿りしよう。 あの状態じゃ 風邪をひく。』
カフェオレをふたつ注文すると 話し始めた。
『すずりん。 最近の君は ときどき元気がないが どうしたんだい?』
「そうですか?別に 何もありませんけど・・・ 」
と、答えるすずりんだが 下を向いたまま目をあわせない。
『僕の顔をみてくれないの?』
ミンチョルにそう言われて 顔を上げるが やはり下を向いてしまう。
ミンチョルは質問を変えた。
『すずりんは ヨンスさんが好きかい?』
「はい、好きです!」
すずりんは 明るい笑顔で ミンチョルをみた。
『ヨンスさんのどんなところが 好きなのかな?』
「ヨンスさんに対する 興味本位のスキャンダルから目をそらすために
私はカムフラージュの目的で 室長と契約しました。
私が 室長といつも一緒にいることで ヨンスさんが気を悪くしないかと心配でしたが
ヨンスさんは逆に いつも私を気遣ってくれて・・・優しくて・・・。」
『そうか・・・』
ミンチョルはヨンスを思い浮かべているのか とても柔らかい優しい顔をしていた。
「主任に噛み付かれたときも すぐに助けてくれて・・・。」
『主任が噛み付いたって・・・?』
「あっ!いえっ!ちょっとだけ・・・。」
『しょうがないなあ(笑) ヨンスさんも以前、噛み付かれたことがあるんだ。』
「そうなんですか?」
『ああ、歯型がつくほどだったから すずりんも さぞ痛かっただろうね。』
「あっ!いえっ! 私にはそんなに強くは・・・。」
『そうなの・・・?』
「はい そのときもヨンスさんは 優しく手当してくれて とても心配してくれました。」
『主任のことは 何故僕に言わないんだ? 僕が厳しく注意するのに・・・。』
「そんなことしないでください。」
『何故? 』
「主任の気持ちはわかるから・・・私は主任を責められない・・・それに、」
『それに?』
「噛んだって言っても形だけなんです。 強く噛んだりしないんです。」
『それにしても・・・。』
「いいえ、 いいんです。 格好つけているんじゃありません。
主任の気持ちは 私が一番よくわかるんです。それを主任もわかってる・・・。」
ミンチョルは やさしい顔で すずりんをみていた。
「室長・・・。」
『なんだい?』
「幸せですか?」
それには答えず ミンチョルは聞いた。
『吸っていいかな?』
「あっ!はい、どうぞ。」
すずりんは テーブルにある灰皿を ミンチョルの前に置いた。
『答えにはならないかも知れないが・・・
心の奥の柔らかい部分が あったかくなった気がするよ。』
「そうですか・・・。」
『ああ』
そういうと ミンチョルは照れくさそうに煙草に火をつけた。
「室長・・・。そういうのを 幸せっていうんですよ。」
『・・・・・・。』
ミンチョルは これ以上ないというような 幸せそうな笑顔をみせた。
『今度は僕が聞こう。 すずりんは 幸せなのかい?』
すずりんは また 下を向いてしまった。
『最近ときどき元気がなくなる理由を まだ聞かせてもらってなかったね・・・。』
契約とはいえ ミンチョルのそばにいられる自分は 幸せなのかもしれない。
でも この状態は 本当に幸せといえるのだろうか。
愛する人が 他の女性と幸せになるために協力し 見守る事が、
幸せといえるのだろうか。
こんなに苦しいのに・・・。
「私、室長もヨンスさんも好きです。
ヨンスさんを好きな室長も好きです。
室長を好きなヨンスさんも好きです。
そんなお二人のそばにいられて 幸せです。
ただそれだけです。 それ以上も それ以下もありません。
私が元気がないなんて 室長の気のせいですよ。
お腹がすいて 私がヘナヘナのときだったんじゃないですか?
気のせい注意報発令中〜!ウ〜ウ〜!」
精一杯元気に答えたすずりんは カフェオレを一気に飲み干した。
一気に飲み干すには カフェオレはまだちょっと熱かった。
しかし すずりんの胸の奥は 冷たい風が吹いたようだった。
窓ガラスをたたく雨粒を 見つめているより他に、
すずりんは視線を向けるところがなかった。
少し上を向いて 雨を見ているふり・・・。
絶対に 泣き出さないように・・・。
店を出ると 先ほどより少し 雨あしが強くなったような気がした。
相変わらず 一緒の傘に入ろうとしないすずりんだったが、
ミンチョルはかまわず すずりんの肩を引き寄せた。
『次に日本に来る時には すずりんはすっかり有名人だ。
こんなことして歩けないんだよ。
それに 雨で風邪をひかせたら 僕の気持ちが許さない。』
ニコっと笑うと すずりんの肩を抱いたまま ミンチョルは歩き出した。
こんなこと 二度とないだろう。
人が見たら 恋人どうしに 見えるのかな?
ヨンスさんに 申し訳ない・・・。
ミンチョルの腕からすリ抜けようとしても
力強い腕は それを許さない・・・。
ヨンスさん ごめんなさい。 今だけ 室長をお借りします。
このことは全部覚えておこう・・・。
信号で止まったとき 室長がひとつ咳をしたこと。
不意に飛び出した猫を避けようとして水溜りに足をつっこんだこと。
水の入った靴が歩くたびにグチュグチュと音を立て「子供みたいだ。」と 笑ったこと。
ポストの前で 前髪をかきあげたこと。
交差点で 左折してきた車に 水をはねられたこと。
よろけて転びそうになったとき しっかり支えてくれたこと。
全部 脳裏に焼き付けておこう。
全部 胸にしまっておこう。
ほんの数十mの間のことだけど・・・絶対に忘れない 宝物。
滞在先のホテルに戻った時 二人はびしょ濡れだった。
一旦はそれぞれの部屋に戻り シャワーを浴びて着替えたが
昼間買い集めたキャラクター物を ミンチョルが持っていたので
荷造りの時に 詰めてしまったほうが良いだろうと
キャラクターの入った袋を届けに ミンチョルはすずりんの部屋を訪ねた。
ドアを開けたすずりんは 珍しくアルコールのニオイがした。
ピンクに小さな白の水玉模様のパジャマに
クリーム色の 少し丈の長いカーディガンを羽織っていた。
『失礼、 もう休むところだったのかい?
これ、荷物に詰めてしまったほうがいいと思ってね。届けにきたんだ。
じゃ、 おやすみ。』
ミンチョルはキャラクター入りの袋を渡すと 立ち去ろうとした。
「待ってください。 入って・・・。」
『いや、今夜はこれで失礼するよ。』
「少しだけお願いします。
ちょっと飲んでみようと思って ワインの栓を開けちゃったんです。
手伝ってください。」
『いや、でも・・・。』
「お願します。」
ミンチョルから手を引くことはあっても すずりんから手をのばしたことはない。
なのに 今夜のすずりんは
めずらしくミンチョルの手をつかんで 離さなかった。
ソファに座ると ミンチョルのグラスにワインを注いですすめた。
「室長とヨンスさんて・・・
本当に愛し合ってるんですね。
ふたりが結婚して歳をとったら どんなおじいちゃんとおばあちゃんになるんでしょうね。
室長はきっと・・・
おじいちゃんになっても かっこいいままですよね。
ヨンスさんは きっとかわいいおばあちゃんになるんだろうなあ。
髪は全部白髪になっても 品が良くて かわいらしいおばあちゃん・・・。
もうひとつ・・・。
夫婦って いつも一緒に居るから だんだん顔が似てくるっていいますよね。
室長とヨンスさんも 似てくるのかなあ。
美男美女だから 似ても似てなくてもステキなカップルですけど・・・。
きっと・・・
ふたりの赤ちゃんも かわいいでしょうねぇ。
ああっ! 室長顔赤いですよ〜。 照れちゃいますぅ?
室長かわいいですねぇ・・・。
ああ〜 あったかい・・・」
すずりんは 焚き火にあたるような仕草で ミンチョルの顔の前に
両手をかざして 笑った。
すずりんはニコニコと室長の顔をみながら ゴクゴクっとグラスのワインを飲み干した。
ボトルを持つと 自分でグラスにワインを注ぐ。
「ああっ! 室長いいんです。 気を遣わないでください。
自分のは 自分でやりますから・・・。
室長は 飲まないんですかぁ? 飲んでくださ〜い!」
『すずりん飲みすぎだよ。 もうやめたほうがいい。 お酒は弱いだろう? 』
そう言って ミンチョルは すずりんのグラスを取り上げる。
「大丈夫ですぅ 私 飲んだらけっこう ・・・飲めるんですぅ。 」
そう言うと テーブルに置いてあった ミンチョルのグラスを手にし
グイっと 一気に飲み干した。
『ワインをそんな飲み方しちゃいけない。 もうやめよう。』
ミンチョルは 心配そうに すずりんを見ている。
今夜のすずりんは 明らかにいつもと様子が違う。
『すずりん、本当にどうしちゃったんだ。
いつも明るい君の こんな姿を見るのは辛いんだ。
もうこれくらいで やめよう。』
たしなめるミンチョルに向かって すずりんは人差し指を自分の口に当ててみせた。
「シー! 何も言わないでください。
今日だけです。 今日だけ・・・。
明日目が覚めたら ぜーんぶ忘れちゃってください。
ソウルに帰ったら 契約事項に専念しますから ご心配なく・・・。
了解?」
かなり酔いがまわっているのか
焦点の合わない目で ミンチョルを見ながら すずりんは続ける。
「私も・・・
室長といつも一緒にいるから いつかは顔が似てくるのかなあ・・・。
かっこいい室長に似たら 私は嬉しいけど
ふふふ 室長 困るでしょ。 落ち武者ミンチョルなんて・・・。
もしも・・・
室長と私の赤ちゃんがいたら、
だからぁ もしもですよ〜
落ち武者赤ちゃん なのかなあ・・・。
頭にちっちゃな矢がささってるのかなあ。
ははは・・・。 (チカラなく笑ってみせるすずりん)
女の子だったら・・・・・・
かわいそうだなあ。
だって女の子なのに・・・。 女の子なのに落ち武者ですよォ〜。
好きな人ができても 好きって言えないんですよォ〜。
室長みたいな人に会えたら 一瞬でも夢を見させてもらえるけど
そういう人に出会えなかったら 夢なんて・・・
無いっすからねえ。
えへへへへ 。
ちっちゃい落ち武者赤ちゃん。 ちょっとかわいいかなあ・・・。
室長に似てたら きっとかわいいだろうなあ。
あははは・・・。
パパに似た女の子は幸せなんですよねぇ。
室長がパパ。 なんてなぁ・・・。」
ほんの少し表情が曇ったすずりんだったが
すぐに 笑顔を作ってこう続けた。
「室長とヨンスさんに赤ちゃんが生まれたら、
頭のてっぺんの髪の毛を、こうやってチョコリンってしばって
ちっちゃなリボンを 結んでくれませんか?
そしたら、ちっちゃいすずりんになるから・・・。
ちっちゃい落ち武者赤ちゃんに 見えるから・・・。
あれっ? 何言ってるんだろう私・・・えへへへ。
あっ ちょっとすみません。 おトイレにいってきま〜す。 」
ほとんど歩けないような状態で すずりんはヨロヨロとトイレに立った。
ミンチョルは 胸をえぐられたような ショックを覚えた。
言葉がみつからなかった。
いつも元気に走り回ってるすずりんが そんな気持ちでいたなんて
思いもよらない ことだった。
時々沈んで見えたのは こういうことだったのか・・・。
何も言わずに ひとりで苦しんでいたのか・・・。
どれくらいの時間が経っただろうか。
トイレからなかなか戻らないすずりんが 心配になった。
あんな無茶な飲み方をして 悪酔いでもしたのか?
トントン・・・・・・ 洗面所のドアをノックする。
『すずりん 大丈夫か?』
トントン・・・・・・ 返事が無い。
『すずりん 失礼するよ』
ガチャっ
洗面所のドアを開けると 洗面台の壁にもたれて
座り込んで眠っている すずりんがいた。
『すずりん・・・起きるんだ。 風邪をひくぞ。』
チョンチョンと ホッペをつつこうとしたミンチョルの手が止まった。
すずりんの頬に 泣いたあとがあったからだ。
涙がまだ 残っている・・・。
ミンチョルは 一瞬息を飲み込んだ。
そしてゆっくりと 静かに息をはいた。
『すずりん・・・。』
洗面所からベッドまで運ぶと すずりんをそっと寝かせ
ミンチョルは 毛布をかけてやった。
ベッドに下ろされた振動で すずりんは気がついたが 瞼があかなかった。
眠いのと 泣いたのとで 瞼が重くてあかなかった。
そこへ 噛みしめるようにゆっくりと話しかける ミンチョルの声が聞えてきた。
『すまない。
僕は君に 無神経で残酷なことをしていたんだな。
僕の周りには 君みたいな子はいなかったんだ。
今までみてきた女の子は
うっとうしいほどに いつも僕をみつめ いつでも僕を求める視線を投げかける。
本当に僕がほしいのか 僕のバックにある財産や名声がほしいのか
わからないような子ばかりで うんざりしていたんだ。
君は 僕が抱きしめても 決してその手を僕の背中にまわさない。
僕をみつめたり すがったりしない。
しなだれかかることも 甘えることもしない。
涙を武器に 僕に言い寄ったこともない。
だから、僕のことなんか全然興味がない子だと思っていたんだ。
だけど違うんだね。
何も求めない愛もあるのか・・・。
ただ胸の奥で 誰にも見せない愛もあるなんて知らなかったよ・・・。』
ミンチョルは
深く息を吸うと 天井を仰いでいたが しばらくしてまた 話しだした・・・。
『ヨンスさんはね 本当にやさしく 僕を受け止めてくれるんだ。
だけど・・・
僕の心の やわらかいところが あったかく感じたのは
ヨンスさんのことばかりじゃないんだよ。
すずりん、 君のこともそうだ。
ヨンスさんとは違うところで 僕をあったかい気持ちにさせてくれるんだよ。
いつも元気に 僕を笑わせてくれるだろう?
僕の無防備なときをついて 不意に笑わせる・・・。
こんなに 気持ちが軽くなることはないんだ。
ヨンスさんを愛する気持ちとは 違うものだけど
君のことも 今では大切に思っているよ。 ウソじゃない・・・。
僕は君に どうしてあげたらいい?
君を 苦しめることしかできないのだろうが・・・
いっそ 契約を打ち切って 僕から離れれば楽になるかい?
いや、それは僕が困るな。
明かりが消えてしまいそうで 不安だ・・・。
僕に出来る事は いつもどうりにしていることかい?
明日は 今までと変わらずにいるよ。
表向きはね・・・。
でも 君の気持ちは もう知ってしまった・・・・・・。
ありがとう。
こんなに僕を想ってくれて・・・。
今夜はぐっすり眠るといい。
おやすみ。 』
ミンチョルは すずりんの髪を 頭になでつけると
おでこにそっとキスをして 部屋を出て行った。
ドアの閉まる音がすると
すずりんは 掛けられた毛布を引き上げ 顔を覆った。
声を殺して 一晩中泣いた・・・・・・。
翌朝 瞼をパンパンに腫らしたすずりんがいた。
こんな顔じゃ 外に出られそうにない・・・。
「そうだ! いいこと考えたあ!」
朝食の時間に ミンチョルの前に現れたすずりんをみて
ミンチョルは おなかを抱えて笑い出した。
すずりんは 変装用めがねをつけていたのだ。
黒ブチのめがねに ビニル製の鼻がつき 鼻の下にはヒゲがついている。
しかも めがねレンズの部分は ピンク色に塗りつぶしてある。
そして 頭は トレードマークの落ち武者ヘアーと刺さった矢。
『すずりん、今日はまた随分と激しい登場だね。』 ・・・まだ笑っている。
「えへへへ 昨夜 飲みすぎちゃって 目がパンパンなんです」
『なんでまた 目が腫れるまで飲んだりしたんだい?』
「ちょっと飲んでみたかっただけなんですけど、相当飲んじゃったみたいです。
でも 嬉しい夢をみました。」
『どんな夢?』
「へへへ ナイショです!」
『聞きたいなあ どんな夢をみたんだい?』
「うふふ 絶対言わない!」
『わかった! おいしいものを食べた夢だな。お腹がやぶれるくらい食べたとか・・・。』
「そんなんじゃありません。 でもある意味 おいしい夢かな?」
『なんだいそれ! ますます聞きたい!』
「ますます 言えない!」
おでこに室長がキスしてくれたことだなんて、絶対に言えない!
『すずりん!教えないと その変装めがね 取リあげるぞ!』
「えっ!それは困ります。 お面を買ってこないと・・・!」
すずりんは二日酔いで 頭はガンガン痛かったが 気にならなかった。
いつもと同じ様に・・・いや、いつもよりも親しく感じるほどに
ミンチョルが接してくれるのが 嬉しかった。
「室長・・・、男の人って変わってますね」
食事の手を止めずに、すずりんが言う。
『何が?』
ナイフとフォークを使う手を止めずに、ミンチョルは聞いた。
「ヒゲがあると 食べづら〜い!」
ミンチョルがずすりんの顔を見ると ヒゲにジャムやケチャップがついている。
フッと笑いながら 思わず言ってしまう。
『君って 子どもみたいだな・・・。』
「ヨンスさんも きっと同じ様にジャムつけますよ〜だ。」
『えっ?』
「これと同じもの ヨンスさんのお土産に買いました。」
そんなお茶目なヨンスさんを 是非見たいとミンチョルは思った。
「室長は ヨンスさんにどんなお土産を買ったんですか?」
ちょっとだけニヤリと ミンチョルは笑った。
「あっ!聞かなきゃよかった。!」
ちょっとだけ膨れっつらですずりんが言うと ミンチョルはあたたかい笑顔を見せた。
絶対に叶わない究極の片想いだけれど、
ミンチョルのこともヨンスのことも、両方とも大好きなすずりんは
このままでいいと思った。
自分のことも大切に思ってくれているミンチョルの気持ちがわかり、
これ以上何も望むものはないと、すずりんには思えたのだ。
笑いながらミンチョルと食事をしながら
すずりんは まだ夢の中にいるような気がしていた・・・。
創作劇場【究極の片想い】全13話・・・おわり
つたない創作文におつきあいくださり、ありがとうございました。
楽しんでいただけましたか?
ドラマ【美しき日々】に関する創作文は、数多く発表されています。
ミンチョルとヨンスのファンはとても多く、その後の二人の姿がみたいという想いから
まるでドラマの続編かと想うような秀逸な作品がたくさん発表されています。
そんな中で、落ち武者すずりんが登場するこの【究極の片想い】は
かなり異色です!
好き嫌いがはっきりと別れるところです。
いろんな葛藤がありましたが
ミンチョルのキャラを大切に、ヨンスとの関係は変わらずに
それだけは気をつけたつもりです。
だから、究極の片想いなんです。
このブログは、ビョンホンファンの集まりではないし
【美しき日々】さえ どのくらいの人がご存知なのかもわかりません。
しかも、作者である”すずりん本人”を知っている人が集まっているので
『ビョンホンとすずりん??? はァ〜?!?!』 だったでしょ?
話の世界に入り込めないような状況だったと思います。(笑)
ドラマ本編の終盤では手術室に入るシーンもあるので
落ち武者から普通の女の子に手術してしまおうか・・・とか
いろいろ、アイデアは浮かぶのですが どうしたものか・・・。
創作するのは(上手ではないけど)好きなので もっと書きたい思いもあります。
でも、【究極の片想い】は、はたしてみんなはどうなのかなあ・・・。
続編はどうしようかと 悩んでいます。
非公開コメントでもかまわないし
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”すずりん本人”を知らない皆さんも、もちろん歓迎です。
感想をお待ちしています。
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