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すみれ島
  すみれ島

                 作   今西 祐行 

九州の南の端に近い 海辺の村に
小さな小学校があった。

昭和二十年 春のこと
いつからか毎日のように
日の丸をつけた飛行機が
その学校の真上を飛ぶようになった。
生徒たちはそのたび
バンザイをさけんで手を振った。
すると飛行機は
まるでそんな声が聞こえたかのように
ゆっくり翼を振って
海の向こうに飛び去った。

先生たちは知っていた。

それが、片道だけの燃料しか持たないで
爆弾とともに敵の軍艦に突入する
特攻隊であることを ・・・・・・。
そしてさよならをしていることを・・・。

だが、子どもたちは
飛行機が何度も学校に飛んできてくれるのだ
とばかり思って よろこんでいた。
そして手紙や絵を描いて
航空隊に送ってもらった。
 「飛行機から僕たちがみえますか。
  今度はもっと大きく翼を振ってください。」
手紙にはそんなことをいっぱい書いた。
手紙を出してから 飛行機が本当に
翼を大きく振ってくれるように感じた。

手紙や絵を描きあきたころ
一人の女の子が言いだして
すみれの花束を贈ることにした。
みんなで摘んで
いくつもの花束にして
代表が先生と一緒に
遠くの航空隊まで届けに行った。

すると いく日かして
学校に手紙が来た。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 すみれの花をたくさん ありがとう。
 ゆうべはとても楽しい夜でした。
 僕は、小さいときよく
 すみれの花で すもうをしました。
 みなさんは知っていますか。
 すみれのことを、僕たちは
 すもうとり草とよんでいました。
 すみれの花をからませて
 ひっぱりっこをすると
 どちらかの花がちぎれます。
 ちぎれた方が負けです。

 きのう、たくさんのすみれをいただいたので
 みんなでそれをやりました。
 せっかくもらった花をちぎってしまって
 悪いなと思いながら
 花がなくなるまでやりました。
 毛布の中を花だらけにしたままで
 寝てしまいました。 
 かすかに いいにおいがしました。

 今、出撃の号令がかかりました。
 みなさん ありがとう。
 ゆうべは本当に楽しい夜でした。
 いつまでもお元気で
 さようなら。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

先生は 声をつまらせて読み終えると
「この手紙をくれた方は
 もう南の海で戦死しているのよ。
 もう いらっしゃらないのよ。」
そう言って 生徒の前で泣いた。
そして、先生は初めて
特攻機のことをくわしく本当に話した。

その日から 子どもたちは
野原にすみれの花がなくなるまで
花束を作って送り続けたのであった。

いく機の特攻機が
子どもたちのすみれを持って
南の海に散って行ったことだろう。
そんな特攻機のいくつかは途中で故障して
誰にも知られずに 海や島に墜落していた。

戦争が終わって いく年かが過ぎた。
南の海の 小さな無人島のひとつに
いつからか一面に
すみれの花が咲くようになった。
子どもたちの贈ったすみれの花束に
種がまじっていたのだろうか。

今でも 海辺の人たちは
名前もなかったその島のことを
すみれ島 と呼んでいる。


20080921183033







昭和62年7月某日 横浜市内のある小学校の体育館で
今西 祐行先生の講演会がありました。
国語の教科書の中の教材「一つの花」の作者であるこの先生が
その頃にはまだ未公開だったこの詩を紹介してくださいました。

この小学校にはすずりんも
産休先生として勤務していました。
当時4年生のクラスの担任をしていたので
「一つの花」は まさに授業で読み進めたお話です。
その作者の先生の作品なので
教室でこれをみんなに紹介しました。
何人かの子が 涙をこぼしました。
とても印象深い作品です。

当時まだ20代後半の私は
特攻隊の話は知識として知っている程度でしたが
情景を思い浮かべると 胸にこみ上げるものがありました。
もうすぐ50歳になろうとしている今
改めて読み返してみると
特攻隊員の年齢がわが子と重なります。

志願して航空隊に入隊した若者たちだから
戦死は名誉なことなのだと思いつつも
死への恐怖が全くなかったとは言えない状況のはず。
何の不安もなく
家族のもとで無邪気に遊んだ日々を思い浮かべては
すみれの花で すもうをとった最後の夜・・・。

お国のために・・・
家族のために・・・
いろんな思いを胸に秘めて飛び立った青年たちは
最後の最後に
無邪気に手を振る子どもたちの姿をみて
「あの子供たちを守らねば・・・」と
自らを奮い立たせて 機体の翼を振ったことでしょう・・・。


すみれ島
この詩は 担任した4年生のクラスの子供たちで作った
クラス文集の中にも掲載しました。
そして

  これからの日本を支え
  世界の人たちとおつきあいするみなさん。
  悲しい歴史だけは作らないようにしてくださいね。

と 言葉を添えました。





64年も前
夢も希望もたくさんあったはずの若者たちが
命をかけて守ろうとしてくれた日本は
しあわせに満ちた国になっているのかなあ・・・。

軍事力の強大な国家でなくても
大金持ちな国家でなくても
人を思える国であれば
いいなと思う。

胸を張ってやたら威張らなくても
せめて
「ありがとう」と 言える世の中でなければね。
どんな小さなことでも
「ありがとう」と言われたら 
こころがホっとあったかくなる。


すみれの花を ありがとう。
命をかけて戦ってくれて ありがとう。

ありがとう
ありがとう
日本はおだやかな 良い国になりました! って
言いたいよ~う!


命をかけて守ってくれたこの国に
凄惨な事件のニュースが流れるなんて
天国のみなさんに申し訳ないです。






※ この詩は 現在 本になっているみたいです。

興味のある方は 書店で探してみてくださいね。

  



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すみれ島
昨日 大阪で朗読の会があり、すみれ島のことでした。
平和を願う団体の 体験発表会の中で この詩が詠まれました。
私には この詩が 現実につきささり 涙をうかべました。
今の日本 何か忘れている! この詩にありがとうを言いたいです。
題名がわからなかったので 調べていたらこのサイトに辿りつきました。

大人にも読み聞かせ 必要かな。そう思います。
よかったら返事くださいね。ありがとうございます。
★ 244583 さんへ
コメントありがとうございました。
せっかく書き込んでくださったのに ものすごく長い間お返事もせず
大変失礼いたしましたv-436

本編の詩の下の私のあとがきにもあるように
これは昭和62年に まだ未公開の時期に今西先生の講演で知ったものです。
今では本となって発売されているようですがあれから かれこれ四半世紀
このブログにも 検索してきてくれて 拍手の数こそ少ないですが
たくさんの方が訪れてくれています。
検索ワードには 『 読書感想文 すみれ島 』 というのもありました。
小中学生の課題図書にでもなったのでしょうか。
そうだとしたら 嬉しいことですね。

今西先生の講演会のあとすぐに出版されたとしたら
10歳前後で読んだ子供たちも もう30代。
親となった人たちもいるでしょうね。

これからも長く愛読されて じわじわ じわじわと 現代の日本人の心に
しみ渡って行ってくれたらと思います。

最近は気力体力エトセトラ・・・とくに気力が衰えてしまってブログ更新もせず
そんなポンコツ具合にまた凹み・・・。
せっかくのコメントにも気付かないほどパソコンから遠ざかってしまっていました。
本当に失礼してすみませんでした。v-436


だけど やっぱりコメントいただけると嬉しいです。
しかも 大きな声じゃ言えませんが3年前の埋もれた記事なのに 
読んでいただけて 本当に本当にうれしかったです。v-254

ありがとうございました。v-436 

心やさしい 平和な国となりますように・・・。
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